もはや切っても切れない関係にある、PowerBookをはじめとするノートPCとエレクトロニカ・ミュージック。そんな状況も反映してか、Sound & Recording誌の特集は「WEBで始める一人レーベル」。制作した楽曲をMP3にしてアップロードする方法はもちろん、より多くの人に聴いてもらうためのノウハウ、例えばSNSの利用からiTunes Storeへの配信代行サービスの紹介まで、ダウンロード販売の手助けやプロモーションの方法まで細かく手ほどきしてくれています。
そして、エレクトロニカのトップ・クリエイター、カールステン・ニコライ氏が主催するラスター・ノートンのオリジナル・コンピレーションCDが特別付録。さらにこれを記念して今月22日にはアップルストア銀座において同氏のトーク&ライブが開催されるとのことです。
展示会『平行線は無限のかなたで交わる』やインスタレーション『syn chron』でのあまりに美しい造形とサウンドスケープの融合(いつかこのようなテーマをWEBで試みてみたいものです)も記憶に新しい同氏の貴重な一日限りのイベント。入場無料とのことなので見逃す手はないでしょう。(けれど私は現在長野県在住、平日のため行くことができません。。。残念)
カールステン・ニコライ氏はその実験的な音響の生成や自然とテクノロジーの追求において、エレクトロニカに限らず、現代アートの世界でいま最も先端に位置する人です。同氏と活動を共にすることの多い坂本龍一氏のコメントにもあるように、「音響系」の方たちは人との繋がりも大切にする傾向が強いようで、バンドと違い一人でコツコツと作業するイメージとは異なり、エゴイズムを乗り越えた可能性を感じさせもします。
そういえば少し前には、坂本氏と親交も深く、エレクトロニカの影響を強めているデヴィッド・シルヴィアンが香川県の直島に訪れ、自然の音をサンプリングしていました。島全体がアートになる企画展『NAOSHIMA STANDARD』の一環としてですが、訪れた人はそのサウンドの入ったiPODを貸し出され、シルヴィアンによる音のコラージュを聴きながらアートの鏤められた直島を歩くことができるというものだったようです(現在はCD化されています)。
そのシルヴィアンが今月来日、渋谷オーチャード・ホールの素晴らしい音響システムでのライブが行われます。なんとドラマーとしてスティーヴ・ジャンセンが参加。(ちなみに私にとって、シルヴィアンは最も敬愛するアーティストの一人ですが、これまた平日のため行くことができず。。。さぞかし良いライブになることでしょう。行かれる方が羨ましい)
そしてまたスティーブ・ジャンセンはこれまで高橋幸宏氏とのコラボレーションなどはありましたが、24日には待望のソロアルバムが出るということでこちらも楽しみ。やはりエレクトロニカを基本軸としながらも、さまざまな試みがなされた野心的な作品に仕上がっているそうです。シルヴィアンもボーカルで一曲参加の模様。
音響と人肌の密な関係はまだまだ終わりそうにありません。