プロヴォークの残したもの

2007年11月15日 by Eiji Saito

adieu.jpg巷ではどうやら、かつてのプロヴォーク(写真雑誌)のメンバーの再評価が著しいようです。中平卓馬の最後の(?)写真集『ADIEU A X』が「1989年に刊行した幻の写真集が甦る」といささか仰々しく銘打たれて再発されたのにも驚きましたが、その他にも、気付けば雑誌などでプロヴォークやそのメンバーについて書かれているのを見受ける機会が増えたように思います。

 

中平卓馬、多木浩二、森山大道らを擁し、時代のエッジを風のように駆け抜け、いまや殆ど伝説の存在となってしまったプロヴォーク。創刊から僅か3号、最後に総括集「まずたしからしさの世界をすてろ」をもって廃刊した同誌の各号は古書店での値が数十万にも及ぶとか。

 

普段画像を扱う仕事をしている身にとっても、やはりその影響は少なからず刷り込まれているようで、モノクロの画像を扱うときなど、その過程で思わずプロヴォーク的(?)な補正を試してしまっていたり。あたかも現実以上にその内実を映し出してしまうかのようなモノクロームの力に魅せられたのも、プロヴォークの存在が大きかったと再認識しているところです。

 

ここで最近出版されたものをいくつか紹介します。

 

中平卓馬 『なぜ、植物図鑑か』(文庫本)

映像や写真に関する評論集。まさかこれが文庫で読める日が来るとは思いもよりませんでした。(今月はなんとサルトルの大著まで文庫化してしまった筑摩書房さんには頭が下がる一方です)
60年代後半から70年代という時代が時代だけに、かなり挑発的な言葉が飛び交っていて、それが写真の時代の熱さを同時に物語っているようでもあります。

 

多木浩二 『建築家・篠原一男』(単行本)
メンバー随一の理論家、多木浩二はその活動を批評へと移してゆくなかで写真家としての活動を封印してしまうのですが、自身友人でもあった幾何学的な建築で知られる篠原一男へのオマージュとなる近著『建築家・篠原一男』では、プロヴォーク時代に撮影した「いかにもプロヴォーク!」な建築写真をいくつか拝見することができます。

 

森山大道 関係

おそらく最もポピュラーな存在と思われる森山大道は既に多くの著書があり、文庫化されているものも多いので、大抵の方が何かしら接していることでしょう。『遠野物語』が文庫化された後、最新写真集はこの夏に出た『ハワイ』。特に今年は森山関係の出版物がちょっと凄いことになっているような・・・。

 

それにしてもいまや一億総デジカメ時代、猫も杓子も写真を撮ることは可能です。ただ、画像ばかりは氾濫するものの、立ち止まって魅入られる写真がどれだけあるかといわれれば何とも歯がゆい思いがしないでもありません。プロヴォークの写真に浸ることで、少なくとも自らの戒めにはしたいところ。

 

最近の出版事情には悲しい思いをすることも多いのですが、このようなよい作品の出版や復刻ならば大歓迎です。あとはプロヴォーク唯一の詩人、岡田隆彦の作品集を望むばかり・・・。講談社文芸文庫さん、いかがでしょう?

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