egwordと日本語環境

2008年4月1日 by Eiji Saito

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Macの日本語環境をその礎から支えてきたソフトメーカーの老舗、『egword』のエルゴソフトがパッケージソフト事業から全面撤退して早三ヶ月以上が経とうとしています。かな漢字変換プログラム草創期からMacの日本語環境と伴走するようなしかたで進化し続けてきた定番ソフトが終了してしまうという事実には、一抹の寂しさを感じずにはいられません。

 

多くのMacユーザーにとって、「書く」ことの快楽、「思考する」ことへの変革を促してくれたのは、Mac OSの存在はもちろんとして、やはり『egword』や『egbridge』をはじめとする優れて「Macライク」な、手に馴染む日本語環境だったといまさらながらに再認識しています。

 

Macに標準搭載されている「ことえり」が、お世辞にも優秀なかな漢字変換プログラムとはいえず、またWindows環境では事実上標準となっていたATOKの最新版が常に一歩遅れてMac対応となっていた過去の事実を思えば、バージョンアップのたびに何らかの驚きを与えてくれた『egbridge』の先進性は改めて称讃されてよいのでは。

 

個人的にも、思えばいつしか「書くこと」=「egword」の図式が成立していたような気がします。そのワープロとしての魅力の源泉は、なんといっても美しい日本語環境というものを強く意識したつくりにあるのではないでしょうか。MacOS XのヒラギノフォントやインテルMacユニバーサルへの素早い対応もさることながら、長文・縦書きへの最適化、シノプシスへの高度な対応、アウトラインプロセッサ的な使い道など、何かをつくり出せるという予感がソフトのたたずまいそのものから絶えず漂っていたといっては大袈裟でしょうか。

 

思考の道具としてのコンピュータ。Mac台頭の時期によく聞かれた言葉ですが、アラン・ケイのダイナブック構想などをはじめとする(そしてもちろん坂村健一氏によるTRONという驚異の日本語環境も忘れてはならないのですが)、思考のプロセスそのものに変革を与える「個人の」コンピュータというものに思いを馳せるとき、言葉を紡ぐのもまた個人とその道具としてのマシン(そしてソフト)とのコラボなのだと勝手に解釈してみたり。

 

現在のエルゴソフトのWEBサイトに掲載されている挨拶にもあるように、OSの進化とともに歩んできたMacの日本語環境もここでひとまず成熟の域に達したということなのかもしれません。それでもいつか『egword』や『egbridge』が、既成の観念を打ち破るほどの革新的な「思考のエンジン」として再び登場してくれる日を願ってやみません。

 

エルゴソフト オフィシャルサイト
http://www.ergo.co.jp/

 

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