電子書籍プラットフォームのゆくえ

2010年9月3日 by Eiji Saito

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いまだ留まることを知らない電子書籍ブームですが、前回エントリーしたときのタイトルが「iPhoneと出版ソリューション」とあるので、僅か半年でiPadとその周辺が一気に盛り上がったのだということが再認識されます。

騒がしいわりには、一向にスタンダードとなるような姿が見えてこないのも電子書籍ブームの特徴のような気がします。そこでちょっと現況を整理する意味でノートをとっておくのも無駄ではないかもしれません。

【出版・印刷業界】
DTP BOOSTERなどをはじめとする電子書籍セミナーが大盛況の模様。黒船襲来、遅れをとるまいとする出版関係の方々を中心に盛りあがるも暗中模索が続いている感じ。

【業界地図】
どこが主導権を握るのか、最も気になるところ。しばしiPad熱に隠れ気味ではありましたが、電子書籍分野で猛追を見せるのがGoogle。Google Booksの1200万冊以上にのぼる電子化された書籍の利用が強みのGoogle Editions(WEBストア)の動向が気になるところです。限定されないデバイス上での閲覧が可能なサービスとなると、新鮮味はない分、従来のPCに慣れていれば、こちらのほうが親しみやすいという人もいることでしょう。DRM(デジタル著作権管理)を意識しなくて済むということもあり、意外とPCユーザーには浸透するかもしれません。

何かと慌ただしい電子出版業界、しばらくは群雄割拠の状態が続きそうですが、やはり中心となるのはAmazon、Apple、Googleの三つ巴。そんな折、ドコモと大日本印刷が提携、AppleのiBook Storeに全面的に対抗の姿勢。日本語では負けていられんという気概とともに電子書籍専用端末も販売されるらしい。

【WEB関係】
最近ではSEO対策を施した電子書籍化サービスを売りにしている制作会社もあるようなので、機能面に加え、何かしらの付加価値でもって差別化されていくのでしょうか。

【制作サイド(アプリ周辺)】
InDesignによるePub形式での出力など、試行錯誤の状態。段組み・マスターページ・索引などが困難だったり、inddデータからxhtmlに吐き出される順などcssのclassを意識する必要がある、などしばらくは調整の必要があるとか。おそらくIndesignなどは次期バージョンで一気に電子書籍への出力最適化を図ってくるのでしょう。

【制作サイド(クリエイター周辺)】
ePub形式だけでなく、アプリ系であればよりグラフィカルなクリエイションが可能なわけで、そのうち電子書籍に特化した絵本作家などが登場し、驚きのコンテンツを見せてくれるようになるかもしれません(『Alice for the iPad』には既にその片鱗が窺えます)。ともあれ、制作サイドのことをいえば、ここのところWEBデザイナーばかりがもてはやされてきた感がありますが、これからはエディトリアル・デザインとともに再びDTP系のデザイナーが腕を振るうチャンスが到来しそうな予感もあります。

【個人による配信】
おそらく個人レベルではもっとライト感覚な、PDF作成のレベルで簡易な電子書籍が作れるようになる環境が整うと思われます。そうなるとキュレーターがもてはやされる時代がくるとの予想も高まっているようで、カリスマブロガー同様、商品価値を魅力たっぷりに伝えられるブック紹介者が重宝されることに?!

【ライターサイド】
一方で、プロの書き手も出版社を介さずに自主制作する動きが出ているようで、ニュータイプの電子雑誌「AiR」などはその模範的な先駆けといえそうです。iPhone/iPad向け「出版社を介さずに直接読み手に届けるオリジナルの電子書籍」という触れ込み。

以上、あまりに雑然としたノートではありますが、果たして1年後(いや、半年後か)に読み返したときにどんな感慨があるのかないのか。
「標準」としてサービスが定着されるのにはもうしばらく時間がかかりそうな電子書籍の世界、紙の本フェチとしては今後も静かに見守っていきたいと思います(?)。
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