Adobe DPSのリリースに望むもの

2011年2月18日 by Eiji Saito

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「読む雑誌から体験する雑誌へ」・・・どこか古くて新しい響きですが、これは去年から俄かに話題となっているAdobe Digital Publishing Suite(以下DPS)の謳い文句。

「新世代の制作出版支援環境」とのことで、アドビの主力製品CS5の技術を拡張したデジタル出版向けソリューションとなっているようです(現在はプレリリース版を利用することが可能)。

「古くて新しい」と感じたのは、やはり昔さかんに喧伝されたマルチメディアの謳い文句と重なるからでしょうか。開発元のアドビ側にも、DTPデザイナーには従来の使い慣れた製品(つまりIndesign)でインタラクティブに制作してほしいという意図があるように見受けられます。

このDPS、特にデジタルマガジン(以下、ここでの謂いは電子書籍版の雑誌のことで、WEBによるデジタルマガジンとは区別)の分野で威力を発揮しそうな雰囲気で、実際に米WIRED Magazineなどの成功例が既にあり、制作過程なども紹介されています。どこがよいのかちょっと調べてみると、

・DTPデザイナーがレイアウトの知識や技術をそのまま活かして制作できる
・対話的なインターフェイスを容易に付加することが可能
・制作だけでなくAppストアでの販売などeコマース環境までを視野に入れている

といったところでしょうか。
ページレイアウトはIndesign CS5による通常のDTPとほぼ同じですが、(iPadで表示させる際の)縦と横それぞれのレイアウトを用意する必要があるようです。そして要となるのはスタティックなドキュメントに対しインタラクティブな要素を加えていけること。これにはAdobe Digital Content BundlerなどAIRユーティリティの利用が前提とされます。もっとも、このへんの機能はいずれInDesign本体に組み込まれる予定のようですが。

以下にAdobe DPSを利用してのデジタルマガジン制作~閲覧ワークフローをまとめておきます。

Phase1: InDesignによるページレイアウト】
・文字組み
・割り付け

Phase2: Adobe Interactive Overlay Creatorによるオーサリング】
(将来的にはInDesignに組み込まれる模様)
・ハイパーリンク
・画像のパン/ズーム、回転
・スライドショー
・ビデオ/オーディオ

Phase3: Digital Content Bundlerによるファイル書き出し】
縦横レイアウト、メタデータ(記事タイトル/説明など)、
インタラクティブ機能のためのコード、画像など素材を圧縮し、
「.issue」フォーマットとして書き出し

Phase4: Adobe Digital Content Viewerでコンテンツ閲覧】
.issueファイルを画面にタッチしながら閲覧することが可能に

思えば紙媒体のWIRED誌はとにかくラディカルな雑誌でした。斬新なレイアウト、ハイテクヒッピー(?)な思想。。鳴り物入りで登場した日本版の休刊から既に10年以上が経つとは。。もう少しアカデミックな内容のInterCommunication誌とともに、当時すぐそこまできているテクノロジーの先端に触れることのできた希少な雑誌として記憶しています。

そういえば最近、その分野の雑誌に魅力的なものがないな~などと思っていたところでした。はたしてデジタルマガジンとして挽回を期すことができるでしょうか。それこそ昔のマルチメディアともまた違った新しさを提示してほしいものです。

発表されているDigital Publishing Suiteのリリースは、2011年第2四半期。アドビの第2四半期は3月から5月らしいので、現在は最後の追い込みといったところでしょうか。積極的にDPSに取り組みたい、もしくはDTP制作からWEB制作に移った者に再びInDesignを使いたい!と思わせてくれるような魅惑のリリースを期待しています。

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