決して絶滅することのないだろう紙の書物について?

2011年4月6日 by Eiji Saito

book.jpg
目下、新著『バウドリーノ』が絶好調のウンベルト・エーコ。中世北イタリアのカトリック修道院を舞台にした小説『薔薇の名前』で一躍時の人となったエーコが放つ久々の中世ものとあって、方々から概ね好評をもって迎えられているようです。

そのエーコ教授、古今東西の書物という書物に精通しているのはまあ当然として、早くからパソコンも使い、ネットにも通じているらしく、ちょっと前に翻訳出版となったジャン=クロード・カリエールとの対談をもとにした共著の中では書物談議の隙間に本とインターネットとの関係にも触れています(そういえば『フーコーの振り子』の文中にも唐突にコマンドが出てきた記憶が。。)。

この本、『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』という、なかなかにセンセーショナルなタイトルが付されていますが、これはもちろんエーコ一流のウィットに富んだ表現で、一読すれば分かるように事態はまったく逆のことを示しています。とにかく書物への愛に満ちた論議がなされるので、読み終えた頃には「インターネットや電子書籍がどんなに隆盛を極めたとしても、紙の本はなくならないだろう」という確信を返って強めることになります。

そもそもエーコ本来の専門である記号学からして、表現するものと表現されるものとの関係を紐解いてゆく学問でもありましたっけ。

それにしてもこの本、装丁もなかなかに凝っていて思わず所有欲をそそられてしまいます。小口の部分がすべて青! 表紙が黒っぽいために、さながら黒曜石とラピスラズリの混淆とでもいった趣きなのです。「どーよ、やっぱ紙、いいっしょ?」と突きつけられているようでもあり。
  • Index
  • Back
  • Index
  • Back
  • スマートフォンサイト構築

スタッフ

  • 平竹仁士
  • 河西裕一
  • 柳澤健一
  • 小林秀太郎
  • 丸山幸男