QuarkXPress App Studioとその周辺

2011年5月25日 by Eiji Saito

AdobeのInDesign CS5.5によるADPSとQuarkXPress 9.1のApp Studio。
ともにeBookの制作から販売までを視野に入れた、今後の電子出版業界のキーを握っていきそうなソリューションです。かつてDTPの分野において鎬を削ってきた両雄が、今度はeBookを舞台に再びあいまみえるかたちとなりそうな予感。

両方に共通するのは、それがリッチコンテンツを搭載可能なアプリ系eBookを対象としている点。

去年の秋に早々と発表を行ったAdobe ADPSのほうに分があるかと思われましたが、どうやらこちらは業界や市場の活性化を担うような本格出版に向けてのソリューションという位置づけにあるようで、業界スタンダードを目指すべく志の高さを感じますが、逆にいうと個人出版レベルでは敷居が高いのも確か。ベータ版ではローカルでできた作業が、なんとAcrobat.comサーバを利用しないとその後の工程に進めなかったりと、かなり厳しい方向に仕様決めがなされているようです(ちなみに無償アカウントでは「個人の環境で」コンテンツを閲覧はできても、アプリとしては書き出せません)。

対するQuarkのApp Studioですが、こちらは現行のQuarkXPress 9.0ではなく、近くアップグレードされるはずの9.1から実装されるアプリケーション。eBook制作からアプリストアへの参入までを非常に安価で始められる(数万円?!)とのことで、どちらかというと小規模からの対応をあらかじめ念頭においていると思われます。機能的にはまだ明確でない部分もありますが、動画やスライドショーなどといったインタラクティブの基本要素はデフォルトで搭載している模様。

創造性に富んだオリジナルな作品の出現を期待するのであれば、やはりここは個人のクリエイターの発想を受け入れ、その発信を手助けしてくれる方に軍配をあげたくなってしまうのは作り手のエゴでしょうか。。大手企業では出版が難しくとも、アイデアの斬新さやユニークさで世に問えるeBookの出現を期待したいという意味合いも強く含んでのこと。

ということで、以前にも少し書きましたが、AdobeにはADPSの個人向けサービスをぜひとも検討いただきたいと感じています。。Adobeにはいつまでもクリエイターの見方であり続けてほしい!

さて、アプリ系に関しては今後のなりゆきに期待をもちつつ、EPUB対応についてもおろそかにはできません。実はInDesignとQuarkXPressの両者とも、当然のごとく今後のEPUB 3.0の台頭を見据え、最新バージョンでかなり頑張ってくれています。

InDesignのほうは既にEPUB 3.0に暫定的に対応、段落スタイルなどにEPUBタグを使えるようです。ということは、InDesign単体でもかなり精度の高いソースの書き出しを期待できるかも。

QuarkXPressのほうはというと、「リフロービュー」という機能の搭載により、実際のビューワでの見え方にかなり近いプレビューを用意できるようです。ただしこちらのEPUBバージョンは現時点で2.0。EPUBへの対応に関してはAdobeが一歩リードといったところでしょうか。

いずれにしろ、両者の互いを高めあう「よきライバル関係」が続くことで、業界全体の成長が飛躍的に高まってくれることを期待したいと思います。

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