「黒の衝撃」から30年、山本耀司のデザイン回顧

2011年6月15日 by Eiji Saito

yohji.jpg

川久保玲のコム・デ・ギャルソンとともに「黒の衝撃」と称され、パリ・コレクション参加を皮切りに80年代からファッション・シーンを牽引し続けてきた山本耀司。当時は異様な過熱ぶりをみせた日本でのDCブランドブームも今ではすっかり落ち着いてしまった感がありますが、ヨウジの服は一過性のモードとはどこか違う次元にあるような気がします。

先日には在日フランス大使館からの発表で、パリ・コレクションデビュー30周年パーティーにおいてヨウジに対しフランスから芸術文化勲章コマンドゥールが叙勲されることになったとの報道も。94年のシュバリエ、05年のオフィシエに続いて三度目の受勲だとか(コマンドゥールは民間人が受勲するなかで最高位)。

ヨウジは、黒という色でない色をもって人に感動を与えることのできる数少ないクリエイターだと思うのですが、そうした感性はやはり優れたアーティストの琴線にも触れるのでしょう。ピナ・バウシュのタンツテアター・ヴッパタール舞踊団結成25周年記念祭や、坂本龍一のオペラ「LIFE」などのなかで、思わずはっとするような黒に出会うとき、そこにはたいていヨウジのデザインが静かに寄り添っています。

ヨウジはこの春に初の自叙伝となる『MY DEAR BOMB』を刊行しています。未読ですが、これまでのデッサンや写真もふんだんに使われているらしく、創作の根源に触れることのできそうな内容。ぜひとも読んでみたい。

書籍でいえば、鷲田清一の山本耀司論といえる『たかが服、されど服』も秀逸。もはや専門の現象学や身体論を超えてモード論の第一人者として認識されつつある鷲田氏ですが、自身が「ヨージの服を着こなす哲学者」であることから、繰り出される言葉も、どちらかというと鋭さよりもヨウジのファッションに共鳴し寄り添っている雰囲気が感じられます。こちらも多くの写真が掲載されており、豪華な仕上がり。

また現在、神戸ファッション美術館では「1960-2000年代のファッション サンローランからガリアーノ、マックイーンまで」と銘打ち、コレクション展が開催されているようです。対象となるデザイナーの名を見るだけでも興味深いですが(もちろんヨウジも含まれています)、会期が今月28日までとのこと、興味のある方はお早めにどうぞ。

コレクション展「1960-2000年代のファッション サンローランからガリアーノ、マックイーンまで」

2009年には自らのブランドの経営から離れたことが大きく報道されたヨウジですが、前向きに考えれば、むしろ創作に没頭できる環境が整ったともいえるはず。今後も素晴らしい作品でファンを驚かせ続けてほしいと思います。
  • Index
  • Back
  • Index
  • Back
  • スマートフォンサイト構築

スタッフ

  • 平竹仁士
  • 河西裕一
  • 柳澤健一
  • 小林秀太郎
  • 丸山幸男