Adobeの拡張規格CSS Regionsへの期待

2011年6月8日 by Eiji Saito

「なぜWEBでは紙面のようなレイアウトができないのか」。WEBには詳しくなくとも印刷物に対して意識の高い人たちからよく受ける質問です。

思えば、それまでDTPで紙媒体のデザインをやっていたデザイナーたちが必要に迫られてWEB制作に取り組みだした頃、HTMLのあまりの貧弱さ・制約の多さに皆一様に首を傾げたものです。それもそのはず、HTMLはあくまでWEBサイトの構造を定義するものであり、本来レイアウトの指定や表示要素の装飾を担うはずのCSSは長い間無視されがちでした(そこでFlashの自由な魅力に飛びついたデザイナーが非常に多いのも確か ※自分含む)。

WEB標準という意識がようやくデザイナーの間にも根付き始め、CSSの重要性が顧みられるようになって久しいですが、雑誌のように自在にレイアウトできるようになったかといえば、アプリ形式でもないかぎりなかなかそこまではいかない状況。

そんな折、AdobeはWEBマガジンなどのレイアウトを念頭においたCSS Regionsなる仕様をW3C(WEB規格標準化団体)に申請、現在はWebKitのプロトタイプも提供されているようです。

・CSS3 Regionsによるリッチページレイアウトについて(英文)

CSS Regionsは、テキスト領域でより自由なレイアウトをモジュールとして実現していこうというもの。仕様としては、下記のように二つのモジュールが中心となっています。

Regionsモジュール:テキストの流れを制御
Exclusionsモジュール:ブロックの領域を定義し、それ以外の領域を除外

具体的には、独立した複数のテキストボックスへ文字データを一括で流し込んだり、不定形なテキストエリアを設定したりが可能のようです。なんだかInDesignで見慣れたレイアウト方法・・・。

そもそもCSS Regionsが生まれるきっかけとなったのが、InDesignなどで培ってきたエディトリアルデザインにおけるオブジェクトへのテキスト回り込みなどの技術をWEB上で実現できないか、という要望からとのこと。まさにユーザ側の「なぜWEBでは紙面のようなレイアウトができないのか」という疑問が根底にあるといえそうです。

AppleがiPadの電子書籍プラットフォーム採用に当時どちらかというとマイナー扱いだったと思われるEPUBを表明したのも、最新のWEB標準に準拠していることやCSSによるレイアウトの可能性を考慮に入れてのことだったはず。そしていま、iPadなど新しいデバイスの波がWEB標準の仕様にも影響を及ぼし始めているのかもしれません。

いずれにしろ、タブレットやスマートフォンのような縦置き・横置きレイアウトが必須のデバイスでは、今後ますますWEB標準の策定の流れ、CSSの自由度の向上が重要な意味をもってきそうです。
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