第15回 [ 国際 ] 電子出版EXPOレポート

2011年7月13日 by Eiji Saito

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国内でもようやく本格的に電子書籍の市場が広がりつつあるなか、東京は国際展示場にて今年15回目を数える「国際電子出版EXPO」が今月7日~9日の3日間に渡り開催されました。その最終日に足を運んできたので、簡単なスケッチではありますがレポートを。

まずは出展社数が昨年の81社から150社に増加とのことで、実に倍近い数にまで増えての開催、1日ですべてを見てまわるのは至難の業といえます。ということで、ざっと概観は済ませたうえで(とはいえ、これだけでも相当足にきますが。。)、いくつかのブースに絞って取材を試みることに。

去年の展示と大きく異なるのは、各社から発表された新しいデバイスの豊富さでしょう。パナソニックはAndroidベースとなる端末、UT-PB1を出展。7インチというディスプレイがはたしてどのように受け入れられるか。パナソニックはこの8月にも楽天の電子書籍サービスに対応することを表明しています。

東芝は少し前に電子書籍サイトを開設していることもあり、新規タブレットのREGZA Tabletをここぞとばかりに紹介。こちらもAndroidがベースとなっており、早ければ今月末には発売開始か。デバイスに関しては他にもNEC、富士通、ソニーと、秋までに大手メーカーからタブレット端末が出揃う感じです。

視覚的に目を惹いたのがKDDIブース。LISMO BOOK STOREはリアル店舗を模したレイアウトで、専用端末機biblio leafやAndroidスマートフォン用の電子書籍が気軽に体験できるようになっていました。

出版社のほうもようやく大手が本腰を入れ始めた印象。講談社は1年後には著者の許可がとれたものにかぎり、すべての新刊を電子化していくとのこと。これまで紙媒体の出版物とのタイムラグが懸念され続けてきましたが、ほぼ同時に刊行という流れになっていくのでしょうか。正直、まだまだ漫画以外で電子書籍じたいが売れている印象は薄いので、講談社や新潮社、集英社といった大手が中心となって頑張ってもらいたいところ。

一方で国内における規格統一の動きも出てきているようで、ソニー、楽天、紀伊国屋書店、パナソニックは電子書籍事業で提携。アップルなど外国メーカーとの対立姿勢を強固なものにしていきそうな雰囲気。

そして、やはり制作サイドとして見逃せないのがクリエイティブ・ソリューション。白く清潔なブースが映えるモリサワは、InDesignから電子書籍コンテンツとして書き出せ、最終的にアプリ化して販売することも可能となるMCBookの発展形といえるMCMagazineを参考出品。レイアウトイメージを保持したうえで、読みたい箇所をタップすれば美しく組版されたテキストウインドウをレイアウト画面の上に重ねて表示。レイアウトと文字組みの両立を考えた優れたソリューションとなりそう。個人的には最も大きなトピックでしたが、逆に言うと従来のMCBookがInDesignレイアウトを保持するものではないと気付かされ、ちょっと微妙な感覚。。MCMagazineも正式な発表がいつになるかは不明です。

本命のアドビはさすがの盛況ぶりで、デジタルマガジン制作ソリューションのADPSやらEPUB書き出し講座やら、InDesignを核としたサービスや機能説明のタイムスケジュールが組まれているのですが、毎回人の絶える気配すらありません。ただ、展示内容じたいは特に目新しいこともなく、WEBサイトをこまめにチェックしていれば把握できる感じではありました。個人的にはADPSの個人版といえる展開の展望、もしくはインタラクティブPDFとしての電子書籍という考え方にもフォーカスしてほしいと思ったしだい。

ということで駆け足でしたが、あくまで個人的な視点から気になったブースを中心にまとめてみました。全体を通して、なかなか充実感はありましたが、昨年に騒がれたような業界変革の大波といった混沌とは違って、ある意味落ち着いていた印象も。もはや避けて通れない電子書籍の道を皆で地に足付けて模索しつつ切り拓いていこうという、開催・出展側のそんな意図を感じとったしだいです。
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スタッフ

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