メタボリズムの未来都市展

2011年10月26日 by Eiji Saito

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焼け跡から未来都市へ。戦後の急速な経済成長とともに芽吹き発展してきた日本の近代都市。なかでも日本を代表する建築家、丹下健三の門下を中心に形成され、世界に誇る建築運動として1960年代に名を馳せたメタボリズム。その初の回顧展となる「メタボリズムの未来都市展」が六本木ヒルズの森美術館で開催されています。

八束はじめ氏の著作で初めてメタボリズムの独創性に触れたのは10年以上前だったでしょうか。以来、「新陳代謝する都市」という基本理念のユニークさに加え、その斬新的に過ぎる設計思想や未来志向のデザインなどを掘り下げゆくにつけ、絶えず圧倒され、魅了されてきました。今回、メタボリズムという類まれなる都市・建築運動を包括的に回顧できるとあり、再び感銘を受けるために展覧会場へと馳せ参じたしだい。

メタボリズムの誕生からほぼ50年と、振り返るにはちょうどよい時期なのかもしれませんが、この展覧会、キャッチコピーからも読み取れるように、どこか戦後日本の復興と震災後の日本の現状をオーバーラップさせているところがあるように見受けられます。なんといってもメタボリストたちは戦後のバラックから出発しなければならなかった身。辺り一帯が焦土と化した地で現実と格闘しながら未来都市という夢を構築していったわけで、そうした夢の実現に希望を託すという意味合いもあるのでしょう。

展示されている模型などはどれも素晴らしく、長年写真だけで眺めてきたものを目の前にするとやはり迫力が違います。これだけ時間を経ていてもまったく古さを感じさせないどころか、いまなお斬新であり続けるオリジナリティ。そういえば、かつてよりメタボリズムにおける最大の魅力は彼ら一人ひとりの個性にあると思ってきましたが、今回はその思いをいっそう強くしたしだい。ほとんど夢想家ともいえそうな菊竹・黒川両氏に対する知性派の槇・大髙両氏など、そのデザイン・思想の対比や立ち位置を確認するだけでも興味は尽きません。

もともとメディアへの露出の多かった黒川紀章氏はもちろん、メンバー中で最も理知的と思える槇文彦氏や、想像以上に明るく生命感に満ち溢れた川添登氏のインタビュー映像を見ることができるのも胸躍る経験。いきいきと語られる川添氏の話を聞いていると、本当に様々な偶然が重なって(そしてそれが必然にも思えてくるから不思議)メタボリズムという奇跡の運動体が実現したんだと感慨もひとしお。

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世界でも再評価著しく、若い世代にも多大な影響を及ぼし続けている建築運動、メタボリズムに触れることのできる展覧会。ご興味のある方はぜひ。

「メタボリズムの未来都市展 戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン」
会場 : 森美術館
会期 : 9月17日(土)~2012年1月15日(日)

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スタッフ

  • 平竹仁士
  • 河西裕一
  • 柳澤健一
  • 小林秀太郎
  • 丸山幸男