iBooks2+iBooks Authorによる電子教科書革命

2012年1月30日 by Eiji Saito

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コードネーム"Bliss"として噂されていたAppleを巡る電子書籍関連情報。一部では早くから教育分野での展開との憶測が流れていましたが、このほどようやく全貌が明らかに。その内容とは、インタラクティブな電子教科書を中心としたオーサリング/販売・配布環境の提供。Appleの本気度が伝わってくる、満を持しての本格的電子書籍プラットフォームの登場といったところ。

発表から少し時間が経ってしまいましたが、改めてその魅力をざっと確認しておきたいと思います。

まずは電子書籍オーサリングアプリ、iBooks Author。Adobeのお株を奪う、レイアウトに秀でた電子教科書制作ソフトです。テンプレートをもとにすばやく作成が可能。作成したファイルをアプリ化する必要がないため、面倒な開発者登録などもありません。つまりその場でiPadにつなげて動作を確認でき、確認しながら修正し、という一連の作業が簡単に、しかも無料でできてしまいます。完成したファイルはiBookstoreで販売・配布という流れですが、無料で配布する場合は必ずしもiBookstoreを介する必要がないようなので、自由に配布可能ということでしょう。

ただ、いまのところiBooksで読むことが前提とされていて、ファイル形式も独自の形式で書き出されるため、とりあえずiPad専用ということになってしまいます。とはいえPDFにも書き出せるので、ファイルの容量さえ気にしなければiPadのない環境でも作品の閲覧は可能です(これをEPUB形式の採用を表明していたAppleの方向転換とみるべきなのか、EPUBの拡張であるのだからいずれは各デバイス対応を考えているとみなし納得するべきか・・・)。HTMLコードの埋め込みをはじめ、AppleのiWorksなどの各種機能をウィジェットとして組み込めるのも大きな魅力。ビデオ、オーディオ、スライドなど必要最低限のインタラクティブ性は軽くクリアしていそうです。

iBooks Authorで制作した電子教科書を販売するサイトがiBookstore、閲覧するビューアアプリがiBooks2ということになります。残念ながらiBookstoreのほうはいまだ日本では未対応状態。iBooks2のほうは、以前と比べマーカー機能などかなり強化されているとのことなので、より教科書に最適化されているということでしょう。

米国では既にかなりの反響を呼んでいるiBooks2+iBooks Author。なんでも3日間で既に35万冊の電子教科書がiBooks経由でダウンロードされたとかで、その盛況ぶりが窺えます。Appleの製品で教育分野の改革を推し進めるのが故ジョブズ氏の遺志でもあったことはよく知られるところ(アプリケーション上でビデオやオーディオの講義を再生できるiTunes Uも同時に登場しています)。今後の展開が楽しみです。

とても魅力的であると感じると同時に、日本での電子書籍環境の混乱ぶりに拍車をかける部分もありそうな気も。電子教科書だけでなく、広く電子書籍制作一般に対応してくれそうなツールとプラットフォームであるだけに、日本でのiBookstoreの状況はそろそろどうにかしてほしいところ。日本のiBookstoreが実質機能していないために、これまでどうしても作成した電子書籍はアプリ化してApp Storeに登録する必要があったわけで、そのあたりがアプリと書籍を明確に区別している米国と比べ複雑に感じてしまう要因になっている気がします。

というわけで、しばらくは無料版として配布することを前提に、この魅力的なツールを使い慣れておくのが吉ということになりそうです。
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