EPUBなどの固定レイアウトについて考えてみる

2012年5月8日 by Eiji Saito

iPadで長文を読むようなケースは個人的にはきわめて稀なのですが、雑誌タイプとなると最近はいろいろと工夫がなされていて、本来レイアウトが苦手とされるリフロータイプの形式であるEPUBでも、かなり美的にレイアウトされているものが増えているのに気付かされ、思わず感心させられます。

これまではなんとなく暗黙のうちに、「長文を読ませるならEPUB」、「レイアウトに凝るならPDF(もしくはアプリ化)」というような棲み分けがされていたかと思います。

EPUBがどれほど今後の電子書籍フォーマットのスタンダードという期待感をもたせてくれようが、やはり基本的にリフロータイプである以上、雑誌のようなレイアウトは難しいだろうというのが実感でした。(本来「ページ」という概念がある「本」を考えると、リフロータイプの電子書籍で凝ったレイアウトをするのは、とりあえず1ページの長さを決めることのできるWEBサイトよりも数段難しいはず)

ところがAppleが独自にEPUBの拡張仕様として固定レイアウトの技術をiBooksに導入して以降、にわかに「EPUBで自由にレイアウト」という機運が盛り上がってきているのもまた事実。そもそもページの概念を必要とせずに文字を流し込ませていくのがリフローですが、その方法はデバイスを限定しない制作に利点がある反面、制作サイドがレイアウトを厳密にコントロールできないことにもつながっていたと思います。

これに対しAppleのEPUB独自拡張では、レイアウトを固定化することで見開きのデザインを可能とし、結果、一挙にiBooksでの閲覧において雑誌や絵本にもEPUBの可能性が見えてきた、というのがここ1~2年の動向だったのではないでしょうか。

また、このへんの技術はAppleが満を持して発表した電子書籍制作アプリであるiBooks Authorへも惜しみなく注ぎ込まれているという印象です。

author.jpg

iBooksでの閲覧が前提であれば、EPUBで固定レイアウトが可能。。このことは、せっかくの標準仕様としての
EPUBの存在意義を曖昧にしかねない面も確かにありそうです。EPUBの仕様決めをしている機関であるIDPFも
この現状を重視してのことでしょうか、昨年後半にはIDPFじたいが固定レイアウトの仕様に関する考察を前提に
ワーキンググループを立ち上げ、その策定を行うに至ったというのはなかなかにエポックな情報でした。

いつぞやのブラウザ戦争ではありませんが、独自仕様の乱立を防ぐ意味でも、IDPFには今後も頑張っていただきたいところ。

ちなみに、PDFのようなリフロー不可能なタイプを「レプリカタイプ」と呼ぶのが定着してきているようです。レプリカ型の弱点はこれまでユーザビリティにあるとされてきましたが(ユーザーの要望に応じたフォントサイズの変更ができない、など)、これはおそらくスマートフォンでの利用においていえることで、iPadのようなタブレットであればさほど気にはならないような気もします。とはいえ、電子書籍としての今後の展開や可能性という意味では、どこか「閉じた」感覚は拭えないかもしれません。。

ともあれ、リフローのよさとレプリカのよさを兼ね備えたものがいつか出てくるのか、愉しみなところではあります。
(いまの勢いをみると、iBooks Authorはその可能性を秘めたアプリ筆頭のような気も)

蛇足ですが、AmazonのKindleでは、リフロータイプとレプリカタイプを切り替えられる「ハイブリッド仕様」への対応を進めている模様。既に欧米では基本的な売り方になりつつあるようです。
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